糖尿病患者の飲酒の適量はどのくらい?

飲酒は血糖値や食事量のコントロールを困難にしたり、合併症のリスクを高めたりするので糖尿病患者には原則禁止です。しかし一定の条件をクリアしている患者には「適量の飲酒」が認められる場合があるということを以前の記事で紹介しました(参考記事:糖尿病患者の飲酒が認められる条件とは?)。

では、この場合の「適量」とはどのくらいなのでしょうか?

実は、飲酒が健康によい影響があるとされる場合の「適量」は、普通に考えられているよりもずっと少ないのです。

ある実験では、女性が1日1合の飲酒をすると心疾患の死亡リスクが1.5倍になると報告されています。男性についての実験でも、1日2合の飲酒で脳卒中による死亡リスクが1.4倍になるそうです。

この数字は糖尿病患者ではなく、健康な人を対象にした実験の数字です。

ただでさえ、心疾患や脳卒中のリスクが高い糖尿病患者の場合、おそらくこれよりも高い数字が出ることでしょう。

1日1合や2合でもこれだけ死亡リスクを高めるわけですから、糖尿病患者の飲酒の適量はこれ以下ということになると思います。これは、せいぜい「ビール中瓶半分未満」「ワイングラス1杯未満」程度の量です。

この程度の量で満足できる人はあまりいないのではないでしょうか。それでもいいから飲みたいの言うのであれば構わないのですが、少なすぎて不満に思う人もいるかもしれません。

そう考えると、やはり「飲酒は原則禁止」と割り切ったほうが良いのではないかと思います。