2014年には新たな作用機序の糖尿病治療が色々と発売されて話題になりました。その中でも特に話題になったのが、アステラス製薬の「スーグラ」ではないでしょうか。
なにしろ日本で初めてのSGLT2阻害剤という触れ込みでしたから、糖尿病患者でこの新薬に期待していた人はたくさんいたと思います。
それどころか、「スーグラを飲めば痩せる」という噂がまことしやかに広まったため、ダイエットに興味がある一般の人からも注目されることになりました。
そんな注目度満点のスーグラですが、先日厚生労働省が製薬会社に医師向けの添付文書を改定するよう指示しています。その改定は副作用についてです。
スーグラはどういう薬なのか?
そもそもスーグラはどういう仕組みで糖尿病治療を行うのでしょうか?
これは簡単にいえば、「糖分が尿として排出されるのを促進する」作用です。
血糖値の高い人がこの薬を飲めば、血液中の余分な糖分がどんどん尿に混じって対外へと排出されます。これにより、生活に問題ないレベルまで血糖値を下げることができるのです。
飲むだけで余計な糖分を排出できてしまうお手軽さは、血糖値管理に汲々としていた人々にとって福音だと思います。
スーグラの副作用とは?
上の説明を読めばわかるように、この薬は尿に混ぜて糖を排出するのが肝です。ですからスーグラには利尿作用もあります。
今回厚生労働省が問題視したのは、この利尿作用によって脱水症状を起こす患者が18例報告されたからです。特に多かったのは、高齢者や利尿剤と併用していた患者だそうです。
この薬に利尿作用があることは、もともと医療関係者向けの添付文書に注意事項として書かれていたそうです。薬の作用機序から言っても当然の話ですよね。
ただ、そうした注意書きがあったにも関わらず脱水症状を起こした患者が複数例いたことで、重大な副作用として記載するよう厚労省が製薬会社に指導したわけです。
副作用への対策は?
一番重要なのは、利尿剤との併用をしないことですね。
他の薬と併用したから尿が出すぎて脱水症状を起こしたのでしょうから、危険な併用をやめれば良いだけの話です。
そして水分をたくさん摂るべきです。
実際に、スーグラを処方する際は医師が患者に水をたくさん飲むよう指示しています。その指示をきちんと守れば、それほど恐れるような副作用ではありません。
そもそもこれだけ注目されて多くの人が服用した新薬で、重い脱水症状を起こしたと報告されたのが18例しかないのです。
これは、「水分補給に注意すればそれほど副作用を恐れる必要はない」ことを示していると私は考えます。
まとめ
今回の記事では、スーグラの副作用について説明しました。
スーグラに代表される糖尿病新薬「SGLT2阻害剤」には、脱水症状を起こしかねない副作用があります。
しかし、利尿剤との併用に注意しつつたくさん水分補給していればあまり心配ありません。
正直なところ、服用する側がちょっと注意すれば回避できる程度の副作用だと思います。血糖値管理への有効性を考えると、これは良い薬だといえるのではないでしょうか。
将来は、好きな物を食べながら薬で血糖値管理するのが糖尿病治療の主流になるかもしれませんね。