糖尿病には、急性合併症と慢性合併症というものがあります。通常、この病気の合併症といわれているのは慢性合併症の方です。しかし、急性合併症の方も極めて危険な事態を引き起こしうる恐ろしいものです。
急性合併症には、糖尿病性昏睡と低血糖性昏睡の二種類があります。
前者は、インスリンが少なすぎて血糖値が急激に上昇したことと、頻尿などによって水分が減少することが原因で生じる昏睡状態のことです。
後者は、逆にインスリンが過剰になっているなど、極端に血糖値が下がってしまうことで発生する昏睡状態です。糖尿病患者がどうしてインスリン過剰になりうるのかと疑問に思うかもしれませんが、薬物療法など、投薬によって血糖値が下がりすぎるというのはしばしば起こるなのです。
事実、私の父は頻繁に低血糖状態に陥ります。さすがに昏睡状態にまでなったことはありませんが、眩暈を起こしてうずくまるなどということはしょっちゅうあります。
患者は血糖値を下げるために努力しているわけですが、努力の結果として急激に血糖値が下がってしまっても急性合併症を起こしてしまうのです。これが低血糖性昏睡の恐ろしさです。
薬物療法を行っていない患者であっても、空腹時にはこういう症状が起こりやすくなります。何か危険な作業中などをしているときや、大事な会議があるときなどは絶対に気をつけなければなりません。
ちなみに、私の大学時代の恩師も糖尿病を患っていました。彼は講義のときにしばしば飴玉などを持参して、危険な状況に陥るのを予防しようと努力していました。
糖尿病の治療法は、単純な血糖値を低下させればいいだけではなく、総合的な「血糖値のコントロール」が重要なのだということが実感できますよね