生活習慣病という名称が定着し不摂生が原因と見られることも多い糖尿病ですが、必ずしも不摂生ばかりが原因であるわけではありません。
同様に、世間は糖尿病に対して正確な知識を持っていないことが多いです。特にまずいと思われる「糖尿病は贅沢病だ」という誤解については、過去にその誤りを指摘しています。
私も友人と会話していると、「あ、誤解しているな」と思うことがたくさんあります。
その中の一つが、「糖尿病は肥満の人がかかる病気」という誤解があります。
痩せていれば糖尿病ではない?
糖尿病は肥満の人がかかる病気だと思っていませんか?
残念ですが、それは誤解です。
たしかに肥満の人は糖尿病になりやすいです。なぜなら、脂肪細胞によってインスリンの効き目が悪くなるからです。
インスリンは血液中のブドウ糖を細胞中に取り込む働きがあります。この働きが弱まることで血糖値が上昇する病気が糖尿病です。したがって、太っている人は血糖値が上昇しやすく下がりにくいので、糖尿病になりやすいとはいえます。
その意味では、肥満の人がかかる病気というのもあながち間違いではありません。
しかし勘違いしてほしくないのは、「肥満の人が発症しやすい」からといって、「肥満でなければ発症しない」わけではないということです。
痩せている人でも血糖値が高くなり、糖尿病を発症することは多々あります。
痩せているのに血糖値が高い人の具体例
具体的に考えてみましょう。
たとえば、日頃から大量に糖質の多い食生活を送っている人がいたとします。たくさん食べているのに痩せている人は、健康だといえるのでしょうか?
実はその人のインスリンの分泌量が少ないため、血糖を脂肪として蓄えることができないだけかもしれません。既に何らかの理由でインスリンの作用が落ちているため、糖質を脂肪として蓄えることができず太らないだけかもしれないのです。
現代人の多くは運動不足ですが、その場合はインスリンの効き目が悪くなることがわかっています。すると、痩せているのに血糖値だけが高くなる場合が十分に考えられます。
こうしたケースでは、痩せていようと血糖値は容赦なく高くなっています。
基準値以上の高血糖、すなわち糖尿病は、体内の血管を酸化させて毛細血管にダメージを与え、細胞の老化を促し、様々な合併症を発生させます。
まとめ
- 肥満は糖尿病の原因となる
- しかし唯一の原因ではない
- 痩せていても血糖値が高いことは多々ある
つまり、肥満は糖尿病のリスクを高める要因の一つに過ぎないのです。肥満以外のインスリン作用を弱める要因が揃っていれば、痩せていても血糖値が上がって糖尿病になります。
肥満体型ではなく痩せているからといって自堕落な生活をしていると、気付いた時には大変なことになります。痩せていても健康的な生活習慣を維持することが糖尿病予防には大切です。
肥満とインスリン抵抗性の関係については、こちらの記事で書きました。
⇒ 2型糖尿病と肥満とインスリン抵抗性の関係とは?