糖尿病の治療には、食事療法が重要な役割を果たします。基本的に、この病気を発症する原因となるものに、爛れた食生活が挙げられます。ということは、患者の食生活を改善しない限り、糖尿病が完治する可能性はゼロに近いのです。
父は医者から以上のようなことを言われ、糖尿病患者のための食事療法の基礎をまとめたプリントを貰ってきました。そのプリントには摂取カロリーをコントロールすることや、脂肪分を抑えることなど、たくさんの注意事項が書かれていました。
父は一通りそれに目を通した後、独自に血糖値を下げるためのルールを決めたようです。それは、血糖値を下げる効果があるといわれている野菜類を大量に摂取するというものです。具体的には、玉葱やキウイフルーツです。
特に、玉葱に関しては、近所のスーパーで5キロもまとめて買ってきました。「これから毎日1玉ずつ食べていくから、これくらいまとめ買いしておいた方が、家計も助かるだろう」などと言いながらです。
血糖値を下げる作用が報告されている食材を摂るのはかまわないのですが、毎日玉葱ばかりを大量に食べる父の姿を見ていると、栄養が偏りすぎなのではないかという気もします。それとなく諭したところ、他の野菜も食べるようになったのですが、いかんせん食事の量を増やすわけにもいかず、栄養バランスに苦慮しているようです。
このような苦労をしなければ糖尿病を克服できないのだという事実を目の当たりにして、私はこの病気の恐ろしさを改めて実感しました。