最近ますます注目されている糖質制限食に対して、日本糖尿病学会はあくまでも伝統的なカロリー制限を中心とした食事療法の方を推奨しているようです。
しかしながら、彼らも糖質制限食の効果そのものは否定していないことに注意が必要です(むしろ効果があるという研究結果の方が多いので否定しようがないのですが)。
糖尿病学会の主張は、タンパク質と脂質の摂取量が多くなると腎臓の機能を悪化させかねないとか、動脈硬化などのリスクが高まるので糖質制限食は推奨しないというものです。
しかしこれは、以下の理由から全くの見当違いだと言わなければなりません。
(1)腎臓に障害がある人にタンパク質の多い食事を勧められないというのは、糖尿病とは無関係に当然のことです。
(2)腎障害がない人がタンパク質を取り過ぎて腎障害になるという科学的根拠は存在しません。このことは糖尿病学会自身も明言しています。
(3)糖質制限食だからといって、動脈硬化のリスクが高まるほど脂質を摂らねばならないわけではありません。普通の人と同程度に脂質を摂るくらいなら問題にはならないはずです。
このように、日本糖尿病学会の主張は根拠が弱いと言わざるを得ません。
実際に、最近では糖質制限食と伝統的なカロリー制限食を比較して、前者だけにHbA1cの有意な改善が見られ、腎機能などの数値も特に悪化することはなかったという研究結果も出ています。
(参考記事:糖質制限食が日本人にも有効というエビデンスが出た!)
糖尿病学会の主張は、せいぜい「カロリーを気にしなくてもいいとはいえ、暴飲暴食で太るのはやっぱり良くない」程度の警鐘だと捉えておけば十分でしょう。